世界最大級のプライベート・エクイティ・ファンド(PE)会社である、ベインキャピタル。
PE(未上場企業の株式)、クレジット、パブリック・エクイティ(上場株式)、ベンチャー・キャピタル、不動産など多様な資産クラスへ投資し、経営のパートナーとして事業価値の向上を支援する会社であり、運用資産残高(AUM)は2022年末時点で約1600億米ドルに達する。
1984年に経営・戦略コンサルティングファームのベイン・アンド・カンパニーのシニア・パートナーによって設立された。ただベイン・アンド・カンパニーとの法的・資本関係はない。創業者の中には、のちに米大統領選挙(2008年、2012年)に共和党から出馬したミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事も含まれる。
創業以来、世界中で約300社以上へPE投資を行い、追加的な投資を含めると約1000社に上る。投資スタイルとしては、コーポレート・カーブアウト、非公開化、事業承継、共同投資、グロース・キャピタルなどを得意としており、約1500人を超える従業員を抱える。事業会社、経営コンサルティング会社、投資銀行、弁護士など多様な経歴を持つ約550人の専門家チームが企業への新規投資や既存投資先の経営支援に従事している。
米国マサチューセッツ州ボストンに本社を置き、東京、香港、上海、ムンバイ、ニューヨーク、シカゴ、ロンドン、ミュンヘンなど世界各地に23の拠点を持つ。日本では2005年の東京オフィス開設以来、国内で活動するPEファンドとしては最大級の規模・陣容を誇る。2021年には国内中堅企業への投資に特化した約1100億円の"日本ファンド"を立ち上げた。2023年2月には大阪オフィスを開設。
米国を中心とした海外での展開に加え、日本国内でも、消費財・小売、ヘルスケア、テクノロジー・メディア・通信(TMT)、製造業、サービスなど幅広い産業分野への投資実績を有している。
海外での主な取引事例は以下の通り。
- 2005年12月、カーライル・グループとトーマス・H・リー・パートナーズと共同でダンキンブランズをペルノリカールから24億2500万米ドルで買収することで合意。ダンキンブランズはダンキンドーナッツ、バスキン・ロビンス(サーティワン・アイスクリーム)、トーゴーズの各ブランドで飲食店フランチャイズを展開
- 2004年3月、トーマス・H・リー・パートナーズやプロビデンス・エクイティ・パートナーズ等の投資家グループがタイム・ワーナーからワーナー・ミュージック・グループの買収を発表。2011年にウクライナ系米国人資産家レン・ブラバトニク率いるアクセス・インダストリーズに約33億ドルで買収され非公開化。2020年6月にIPO
- 2010年10月、米子供服小売ジンボリーを約18億米ドルで買収合意、非公開化
- 2012年9月、カーライル、アポロ、JPモルガン系投資ファンドなどが共同保有していた米映画館チェーンのAMCシアターズを大連万達集団に26億米ドルで売却
- 2017年3月、H. Whitney Capital PartnersとPenfundと共同でaveanna healthcareを買収
- 2018年10月、ファイザーとの共同パートナーシップを通じてCerevel Therapeuticsを設立
- 2020年6月、経営破たんした豪航空会社ヴァージン・オーストラリア買収合意
- 2022年10月、ヘルスケア・ライフサイエンス企業のシティウステックへの投資と戦略的パートナーシップを発表
日本での主な投資実績は以下の通り。
- 2007年1月、サンテレホンを日本産業パートナーズ(JIP)と50%ずつ出資するJIP-Iによる株式公開買い付け(TOB)を実施、2012年12月、日東工業に売却
- 2008年6月、ディーアンドエムホールディングスの株式公開買い付けを発表。同年12月に上場廃止。2017年3月、米国SOUND United LLCに売却
- 2009年12月、ベルシステム24:営業戦略の強化、コスト構造最適化、追加M&A戦略の立案、2014年7月、伊藤忠にベルシステム24の9%譲渡を発表。2015年11月上場(6183)
- 2011年10月、野村ホールディングス子会社などからすかいらーくの全株式を約1600億円で買収すると発表。その後、2014年10月に株式上場(3197)
- 2012年7月、通信販売専門チャンネルのジュピターショップチャンネル(JSC)を買収し、アジア市場への海外展開、インターネットチャネル対応、顧客基盤・マーケティングの拡充を目標にあげており、2016年全保有株式をケーブルテレビ事業大手のジュピターテレコム(JCOM)に売却
- 2014年2月、インターネット調査会社マクロミル:オランダの同業他社の買収などによる海外市場展開、新サービス開発などを提供し、2017年3月に上場(3978)を実現
- 2015年3月、大江戸温泉物語:新規出店戦略の推進、マーケティングの強化、仕入購買・店舗オペレーション強化を含めたコスト最適化、2016年8月、大江戸温泉リート投資法人として、上場成功(3472)。2022年1月、ローンスターに売却
- 2015年4月、雪国まいたけにTOBを実施、同年6月に上場廃止。2017年に49%を米卸大手の神明へ株式売却し、2020年9月に再上場(1375)に成功
- 2015年5月、日本風力開発:新規風力発電所の開発推進、メンテナンス体制の強化、資金調達の最適化
- 2017年12月、総合広告代理店アサツーディ・ケイ(ADK):特定の事業パートナーとの業務提携解消、構造改革支援、デジタル・コンテンツ戦略強化等「オープン・ネットワーク型」グループへの転換、成長分野投資などを支援
- 2020年8月、医療・介護・保育事業ニチイ学館の経営陣と組み、MBOによる非公開化を実施し、財務管理体制強化、オペレーション改善、コスト構造の最適化、M&Aなどのサポート
- 2022年10月、日本産業パートナーズ(JIP)、ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ(JIS)からなる日米ファンド連合による日立金属の株式公開買い付け(TOB)成立
- 2023年1月、インパクトホールディングス(6067)の公開買付けの開始を発表
参考資料:
- Bain Capital homepage:
https://www.baincapital.co.jp
Bain Capital