カーライル・グループ(ナスダック、銘柄コード:CG)は、米国ワシントンD.C.を本拠とするプライベート・エクイティ(PE)・ファンドなどを手がける投資運用会社。デビッド・ルーベンスタイン、ウィリアム・コンウェイ・ジュニア、ダニエル・ダニエロなどによって1987年に創立された。社名の由来はニューヨークのセントラルパーク近くにある高級ホテルのカーライル・ホテルだ。
グローバル・プライベート・エクイティ(PE)、グローバル・クレジット、グローバル・インベストメント・ソリューションズの3事業で576ファンドを管理し、運用残高(AUM)は2023年6月末時点で約3,850億米ドルに上る。5大陸に29のオフィスを持ち、世界中で2,200人以上の従業員を抱える。
運用資産の内訳は、グローバルPE事業が約1,630億米ドルと42%を占め、次いでグローバル・クレジット事業が約1,520億米ドルで40%、グローバル・インベストメント・ソリューションズ事業が約700億米ドルで18%と続く。地域別では、南北アメリカが約81%、欧州・中東・アフリカが14%、アジア・太平洋が5%の割合となっている。89カ国の3,000以上の投資家のために、幅広い資産クラス、地域、業種へ投資を行っている。主なファンド投資家は、年金基金、ソブリン・ウェルス・ファンド、保険会社、富裕層の個人などだ。
過去の投資家として、ジョージ・H・W・ブッシュ(ジョージ・W・ブッシュの父)やムハンマド・ビン・ラーディン(ウサーマ・ビン=ラーディンの父)などが知られている。米国防長官を務めたフランク・カールッチ(共和党)が会長を務めていた時期には、ジョージ・H・W・ブッシュ(いわゆる父ブッシュ、2003年10月に上級顧問を退任)など、各国の元政治家や元政府高官がアドバイザリーボードを務めていた。その後、生粋のビジネスマンである元IBM社長のルイス・ガースナーを会長に起用(2003年1月~2008年9月)したことに象徴されるように、現在は路線を変更しており、政府関係者のほとんどが退任した。
また防衛・軍需産業への投資も行っているが、盛んだったのは政治家などが参加していた時期である。近年は、投資残高の中で防衛・軍需産業関連の投資が占める割合は大幅に低下しており、数%に止まるもよう。現在は、テレコムやヘルスケアなど幅広いセクターに投資している。
2000年に日本で事業を開始して以来、バイアウト、グロース・キャピタル、レバレッジド・ファイナンス、不動産などで20年以上にわたり、日本企業に対する投資に特化した円建てバイアウト・ファンド「カーライル・ジャパン・パートナーズ」を通じ、これまで38件(うち3件はカーライル・グループの海外ファンド主導案件)、総額4,500億円以上の投資実績がある。このうち国内上場は8件、エグジット(出口戦略)は24件に上る。
米国での主な取引事例は以下の通り。
- 2005年にフォード・モーターのレンタカー子会社ハーツをカーライルなど3社で構成する投資グループが負債を含め総額150億米ドルで買収
- 2005年にダンキンブランズ(ダンキンドーナッツ、バスキン・ロビンス、トーゴーズの各ブランドで飲食店フランチャイズを展開)をベインキャピタル、トーマス・H・リー・パートナーズと共同で買収合意
- 2007年にアリソン・トランスミッション(ニューヨーク証券取引所、銘柄コード:ALSN)をカーライル・グループとオネックスコーポレーションが、ゼネラルモーターズ(GM)から56億米ドルで買収
- 2006年にカーライル・グループ、ブラックストーン・グループ、テキサス・パシフィック・グループ、ペルミラ・アドバイザーズの投資グループがフリースケール・セミコンダクタを176億米ドルで買収。2015年にオランダのNXPセミコンダクターズに吸収合併され、フリースケールは消滅
- 2007年にアライアンス・ブーツ(現ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス、WBA)へ投資。2008年にブーズ・アレン・ハミルトンの防衛ユニットを買収。2012年にウォルグリーンがアライアンス・ブーツの買収・合併を発表、2014年に完了し、経営統合
- 2011年にカーライル、ゴールドマン、ハイスター・キャピタル、リバーストーン・ホールディングスなどが出資するキンダー・モルガン(ニューヨーク証券取引所、銘柄コードKMI)が新規株式公開(IPO)、約33億米ドルの資金調達
日本での主な取引事例は以下の通り。
- 2006年に東芝セラミックス(現クアーズテック)を親会社の東芝から切り離し非公開化。2007年にエスアイシー・インベストメント(カーライル・グループとユニゾン・キャピタルの折半出資会社)の完全子会社となり非公開化。2014年に米Coors Tekへ売却
- 2010年にウィルコム(現ワイモバイル)を会社更生法適用申請。ソフトバンク傘下で経営再建完了
- 2003年にキトーを株式公開買い付け(TOB)・マネジメントバイアウト(MBO)により非公開化。2007年に東証第1部へ再上場。2011年に保有株売却。2022年コールバーグ・クラビス・ロバーツ系ファンド傘下のLifting Holdings Bid Co株式会社がTOB実施。2023年に上場廃止。株式併合によりLifting Holdings Bid Co株式会社の完全子会社化
- 2005年にクオリカプスを親会社の塩野義製薬から切り離し。2013年に三菱ケミカルホールティングスへ保有株売却
- 2009年にチムニーを親会社の米久から独立させMBO。2010年に非公開化。2012年に再上場(3178)。2013年に酒類小売大手やまやのTOBにより子会社化
- 2011年にツバキ・ナカシマを野村プリンシパル・ファイナンスから取得。2015年に再上場(6464)
- 2016年に名水美人ファクトリー株式会社(旧九州ジージーシー株式会社)と業務資本提携。営業・マーケティング強化により、国内もやし業界売上トップを記録。カット野菜事業を設立・増強し、新工場の稼働開始。2020年に株式会社神明ホールディングスの子会社化
参考資料:
- Homepage:
Carlyle | Global Investment Firm
club/2443
Carlyle Buys Booz Allen Unit In Bid to Tap Boom in Defense - WSJ
九州ジージーシー株式会社の社名変更 および代表取締役社長交代のお知らせ|九州ジージーシー株式会社のプレスリリース (atpress.ne.jp)